オオアマドコロとアヤメ

小樽市(裏山)にて2009年6月5日撮影

曇りの朝でした。
昼ころに日差しが強くなり、庭に咲き始めたアヤメを撮って、裏山の入口近くでオオアマドコロを撮っていました。
そして、展葉を終えた感の裏山へ登ろうかと思ったころから曇り始め、雨がポツリと落ちてきました。
慌てて帰ると勢いよく雨が降ってきました。
一時の後、晴れました。
で、庭のアヤメを再び撮る。
カタクリエンレイソウそしてナニワズの花の後の裏山でオオアマドコロは、一つか二つの糸で吊り下げた細長い釣鐘状の提灯を思わせる、口の部分が緑色で、白い可憐な花を咲かせています。
アマドコロは万葉集では「にこぐさ」として四首詠まれているようです。
にこぐさは箱根の山に自生するハコネソウ(ハコネシダの別名)と解釈するのが適当と考えられ、そして、アマドコロとする説も、なかなか捨てがたいと西川氏は記載しています。
「にこぐさ」は、オオアマドコロとしよう。
アマドコロは古くから別名イズイ、カラスユリ、エミグサなどと呼ばれて、古名に「はこねしだ」「あまどころ」があり、万葉集では「にこぐさ」として詠まれていて、万葉植物の現代名はハコネソウ(イノモトソウ科)とアマドコロ(スズラン科へ訂正:ユリ科)とする説があるようです。
参考にした西川氏も吉野氏も御本の写真はアマドコロです。
日本列島のアマドコロにはヤマアマドコロとオオアマドコロの二つの変種があるようです。
北海道にはオオアマドコロのみ分布しているようです。
地方植物誌には、アマドコロとヤマアマドコロは区別がなされていない場合があって、この二変種に関して分布図のなかでその存在を明瞭に示さなかったという(河野ら)。
オオアマドコロは東北地方が南限のようです。
5月23日の誕生日の花で、花言葉は心の痛みのわかる人です。

 秋風になびく川びのにこ草の にこよかにしも思ほゆるかも(大伴家持 巻二十・四三〇九)

中西進氏編集の万葉事典によりますとすべて恋情をうたうなかにみえ、初々しくにこやかな女性を比喩しているとのこと。
一方、吉野氏は「にこぐさ」は「にこやか」を導くために使われているという。

西川廉行・文、中村美奈子・絵(2004)萬葉の花 小事典 星雲社
吉野恵美子・文、中村明巳・写真(2006)万葉 花のしおり 柳原出版
河野昭一・田村 実・大原 雅・広瀬智之(解説)、日江井香弥子・増田準三(協力)、番場瑠美子(イラスト)(2004)植物生活史図鑑2、春の植物2 北海道大学図書刊行会
中西 進編(2003)万葉集事典 講談社文庫

オオウバユリがいつの間にか目立つようになりました。