福寿草と万葉集
昨日の天気予報があたり天気がよく、気温が上がり残雪もかなり消え、福寿草も二日ぶりに花開く。
軽く雪割作業をしながら福寿草を観察すると、八時前から開花始め、早くも昼過ぎに花を閉じた。
そんな一日ふときずく。
万葉集に福寿草は詠まれているのか?
フクジュソウの万葉植物名は何だろう?
手持ちの万葉集の花にかかわる本を数冊調べてみた(それ以上多く所蔵していないので)。
記載が一冊のみであった。
それも「さきくさ:三枝」で、柿本人麻呂と山上憶良の長歌の二首で、花そのもではなくて、枕詞として使われているという。
しかも山上憶良の長歌は「さきくさ:三枝」が和紙や衣料原料である今の「みつまた」でなければ解釈できないという。
さらに「さきくさ」は、「ささゆり」、「やまごぼう」、「いかりそう」とする説もあると。
「フクジュソウ」が出てこない。
春日大社の万葉植物園でもとめた最後の下記の一冊に。
吉野江美子(文)中村明巳(写真)(2006)万葉 花のしおり 柳原出版
ミツマタ(ジンチョウゲ科)、ジンチョウゲ(ジンチョウゲ科)そしてフクジュソウ(キンポウゲ科)が万葉植物現代名の候補にあげられている。
やっと出てきました。
「さきくさ」の万葉植物現代名は六種あげられていることになる。
柿本人麻呂の歌は巻十・一八九五の下記の歌です。
春さればまづ三枝の幸くあらば
後にも逢わむな恋ひそ我妹
さらに、「さきくさ」が何なのかははっきりしていませんと説明している。
また、入江泰吉氏の御本「万葉四季の花」に花の名も示された大和路地図が掲載されているのですが、フクジュソウはないのです。
福寿草(フクジュソウ)は万葉集に詠まれていないとは結論付けられないのですが、万葉人には歌の対象としての位置は低いとしか言いようがないのかな。
工藤 岳氏はフクジュソウにやってくる昆虫を観察して、ほとんどはハエやハナアブなどのハエ目昆虫であるという。
工藤 岳(2004)パラボラアンテナで熱を集める植物 花の自然史 北大図書刊行会
画像にもあるように1cm前後のハエに似た昆虫がよく訪れ、羽を休めたり、仲間と戯れたり、多分花粉を食べたりしていた。