谷空木(タニウツギ)

小樽(タニウツギ)にて2007年6月11日

数日前から裏山や近くの木立に淡紅色の花をつけた樹が目立つようになりました。
スイカズラ科のタニウツギです。
ウツギから万葉集に24首詠まれている「うのはな:卯の花、空木の花;現代名ウツギ」を思い浮かべます。
北海道南部から九州まで分布する「うのはな」は、ここ小樽や札幌には生育していなく、珍しい木と言えるのではないでしょうか。
24首のなかで20首がホトトギスとともに詠まれていて、野鳥が活発に鳴く時期に咲く木花のようです。
初夏のいまタニウツギも夏の初めにすがすがしく咲く木花です。
ウワミズザクラの咲き終わった裏山で谷空木が、きれいに咲いています。
ただ、「うのはな・・・ウツギ」は、ユキノシタ科に属する木で、花は枝の先に白い鐘形の五弁花が多数群がるように咲きます。
きららさんからいただいた空木と姫空木がBIVALVESの万葉集の貝のページで見ることができます。
タニウツギにもまれに白花の咲くシロバナタニウツギがあるようです。
しかし、谷空木は淡紅色から紅色の花弁で、漏斗形です。
花の色や形そして属する科など「うのはな」と異なり、「うのはな」を思い浮かべるにはただ「うつぎ」という響きだけです。
それでも万葉集を代表する花のひとつ「うのはな」を思うのです。
タニウツギを撮って詠む句一句。

  「谷空木 万葉しのぶ 木花かな」  北 帰航(第57句)